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OECD Multilingual Summaries

Environment at a Glance 2015

OECD Indicators

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図表で見る環境 2015

OECDインディケータ

日本語要約

2000年以降、従来型の大気汚染物質の排出、交通燃料効率、エネルギー集約度、再生可能エネルギー、水利用、下水処理、生物多様性保護などにおいて進歩が見られる。その理由の一端は経済危機後の経済活動の停滞にあるが、OECD諸国が環境問題に取り組むための方策、例えば消費者行動に影響する税制、環境コストの内部化などを取り入れるケースが増えたこともある。環境への配慮は開発協力と研究開発の分野でも主流になりつつある。

しかしこのような動向の多くは未だに社会の周縁部で起こっているに過ぎず、政策に一貫性がないことが多く、したがって環境への悪影響を減らそうとする取り組みが損なわれている。各国は化石燃料の生産と消費に多くの手段で支援し続けており、経済活動は相変わらず炭素排出とエネルギーその他の天然資源の浪費と結びついている。今後の主要な課題には、気候変動、環境の悪化が健康と将来の成長、発展に及ぼす影響が含まれる。特に経済成長が再開した今、確たる政策と信頼に足る情報がこれらの課題に取り組む上で必要である。

主な結論

大気汚染は気候変動と人体への影響が引き続き懸念されている。

  • 温室効果ガス(GHG)の排出量は、2000年から2012年の間に世界全体で増えたが、ほぼすべてのOECD諸国では減少した。これはGHGが経済成長から全体的に分離されていることを示している。その原因の一端は、経済危機の後、経済活動が停滞したことにあるが、気候変動政策が強化されたこととエネルギー消費パターンが変化したことも一因である。
  • しかし、OECD諸国の一人あたりのCO2排出量(9.6トン)は、世界の他のほとんどの地域(3.4トン)よりもはるかに多い。現行の政策では、世界全体のCO2排出量は長期的な地球の温暖化を2℃に抑えられる排出量の3倍に達すると推計されている。
  • 硫黄酸化物(SOx)と酸化窒素(NOx)の排出量は、省エネ、代替燃料、汚染抑制、技術の進歩などの結果、減少傾向にある。
  • OECD諸国の半数において、人口の90%以上が粒子状物質(PM2.5)に曝されており、健康被害が観察されている。これらの粒子状物質は肺の奥深くに浸透し、重金属や有機毒性物質を含んでいる可能性もある。

水の需要は増えているが、水利用は安定している。

  • 淡水の取水量は、水利用の効率が高まり、価格政策がより適正になったことだけでなく、再利用水や脱塩淡水などの代替水源の開発が進んだことで安定している。多くの国では取水はGDP成長と比較的分離されているが、3分の1の国々では淡水源が中程度から高程度のストレスに曝されており、多くの国々では一部地域、または季節的な水不足に対処しなければならなくなっている。気候変動によってそのような水不足はさらに深刻化するとみられている。それは、現在十分な水供給を得ている国々も例外ではない。
  • OECD諸国の人口の80%近くが公共の下水設備を利用している。いくつかの国々は、老朽化した水供給、下水設備の改善費用の増加という課題に直面している。中には、小規模または分離された設備を提供したり、小規模な独立した処理施設の管理を確保するなど、他の方法をとらざるを得ない国々もある。

一般廃棄物の処理方法では埋め立てが主である。

  • 一般廃棄物の排出量は2000年代に減少した。OECD地域の1人あたりのゴミの排出量は平均で年間520kgであるが、これは2000年よりは30㎏少なくなっているが、1990年と比べると20㎏多い。廃棄物はリサイクルで経済に還元される量が増えているが、半数のOECD諸国で埋め立てが未だに主要な処理方法である。

生物多様性への脅威が高まっている。

  • OECD諸国、特に人口とインフラの密度が高い国々で多くの動植物の種が絶滅の危機に瀕している。北米と欧州では、農地と森林の鳥類が40年で30%近く減少した。多くの森林が削剥作用、分断化、他用途への転換などの脅威に曝されている。再生可能エネルギー目標を達成するための樹木の需要が森林搾取の大きな原因となっている。

環境への取り組みの進捗状況は、経済部門間で均一ではない。

  • エネルギー集約度は2000年から2014年の間に改善し続けている。再生可能エネルギーの利用は特に欧州で増加している。再生可能エネルギーはOECD諸国の発電の21%を占め(2000年は15.6%)、全エネルギー供給のほぼ9%を占めている(2000年は6%)。しかし、化石燃料が依然として供給源として優位である(80%)。
  • ほとんどのOECD諸国で、道路交通量の伸び率は、経済成長率を上回っている。よりクリーンな自動車を推進する各国の取り組みは、車両台数と交通量の増加で相殺されてしまうことが多く、結果として燃料消費と汚染が増えることになる。
  • 農地はほぼすべての国で減少しており、農業関連のGHG排出量とリン酸肥料の利用も減少した。有機農業に使われる土地の割合は依然として少なく2%を上回る程度であるが、これは国によって差が大きい。EU諸国では有機農業の農地の割合が高く、一部の国では10~17%に達している。

研究開発、イノベーションへの助成が増加している。

  • 環境関連R&D向けの公的支出は2000年以降20%以上増加しており、2008年の経済危機以降も公的R&D支出全体よりも速いペースで回復した。しかし、環境関連R&Dの支出が公的R&D支出全体に占める割合は2%に満たない。エネルギー支出全体に占める再生可能エネルギーへの支出の割合は、8%から24%に増加した。
  • 環境目的のODAは増え続けている。ODA総額に占める割合は2002年の9.6%から12.6%に増加した。再生可能エネルギーへの援助は再生不能エネルギーへの援助を上回っている。

汚染の価格付けに市場手段を導入することは難しい。

  • 環境関連税制の導入は増えているが、労働税と比べると未だに限定的である。環境税からの歳入は2013年はGDPの約1.6%だった。環境税は主にエネルギーに対する税(69%)、自動車と交通に対する税(28.%)である。エネルギー税率が多様で、価格シグナルが一定ではなく、環境への影響が大きい燃料への課税が少なく、さらに一部の部門で使われる燃料が免税となっていることなどが、低炭素経済への移行を妨げている。多くの国が未だにディーゼルよりも高い税をガソリンに課しており、最終利用者価格に占める税の割合は産業よりも家計の方が高いのが一般的である。

© OECD

本要約はOECDの公式翻訳ではありません。

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© OECD (2015), Environment at a Glance 2015: OECD Indicators, OECD Publishing.
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