1887

OECD Multilingual Summaries

Government at a Glance 2019

Summary in Japanese

Cover
全文を読む:
10.1787/8ccf5c38-en

図表で見る世界の行政改革 2019

日本語要約

「図表でみる世界の行政改革 2019 (Government at a Glance 2019)」は、公共部門の実績と、政府が国民とのつながりを深め、平等を推進し、より包摂的な成長を促すために実施している政策に関する主要な指標を一覧にしたものである。 政策の章では、利用しやすさ、対応の早さ、品質という観点から「国民中心」の公共サービスがどの程度行われているかに焦点を当てている。本報告書は、教育、医療、司法に関する成果指標と、それを補完する人々のこれらの公共サービスの受け止め方を示す尺度を提供している。

また、国際的に比較可能な指標に基づき、予算編成、規制ガバナンス、公的調達、公開された政府データの利用などにおける公共部門のガバナンス慣行と改革の状況を、国民中心主義の観点から検討している。

主な結論

債務水準の高止まりが経済的ショックに対する政府の対応力を低下させている

  • 財政赤字の平均値は、依然として金融危機前の水準である対GDP比1.7%には及ばないものの、2017年はGDPの2.2%と、2009年以降着実に改善している。
  • 2017年のOECD加盟国の平均政府債務総額は、対GDP比110%に達しており、各国の政策実施余地が減少している。
  • 2017年のOECD加盟国の社会保障及び医療に対する一般政府支出は、合計すると対GDP比21%を上回った。双方とも2007年以降、主に人口高齢化が原因で増加傾向にあり、社会保障は1.5ポイント、医療は1.1ポイント上昇している。
  • 2017年の公共投資は、対GDP比で平均3.1%と、依然として2007年の水準を0.5ポイント下回っている。投資格差も是正する必要がある。公共投資の拡大は、経済成長に貢献するとともに、気候変動への取り組みと持続可能な開発目標(SDGs)の実施に必要な資本を提供することができる。

公務員の数は長期にわたりほぼ安定しているが、すべての公務員が平等に扱われているわけではない

  • 全てのOECD加盟国において、雇用総数に占める公務員の割合は約18%であり、2007年から変化していない。
  • 公共部門の職員における男女格差は、未だに解消されていない。例えば、高等裁判所の裁判官と政治家は、男性の比率が非常に高い(裁判官の場合は全体の67%)。2019年の時点で、OECD加盟国における下院または一院制の議会の女性議員の割合は平均で30%であり、全閣僚のうち女性は約3分の1である。
  • 中央政府において、正規職員が全職員に占める割合は平均で68%で、他の公務員よりも雇用の安定性が高く昇進の機会も多いが、採用条件は厳しい。

主要な人口グループと政策分野に関する予算決定の効果に的を絞った予算配分を行う国が増加

  • 2018年は、調査対象となったOECD加盟国の約半数がジェンダー予算を実施し、約4分の1がジェンダー予算に関する法律を制定した。
  • 2018年に、予算措置が環境や気候に与えた影響を公表したのは調査対象となったOECD加盟国のうち約4分の1であり、社会福祉予算の効果について情報を提供した国もほぼ同数であった。また「持続可能な開発目標」を反映させた成果主義予算制度を導入している国は25%に留まった。

法案や規制案に関する利害関係者との協議はOECD加盟国全体に浸透しているが、作業過程の後半で行われることが多いため、自分の意見がどのような影響を与えたかについて利害関係者がフィードバックを受けることはほとんどない

  • 調査対象となった全てのOECD加盟国は、少なくとも一部の規制の策定に関して、利害関係者の関与を必要としている。
  • 2016年はOECD加盟28カ国で、政策に関して政府中枢と利害関係者との直接協議が行われた。
  • 2014年と比較すると、利害関係者の関与に関する慣行にわずかな改善が見られた。これは特に重要法案において顕著であり、2014年は4段階尺度で2だったが、2017年には2.2に上昇したのに対し、下位の規制では2から2.1への上昇に留まった。

各国政府は、持続可能性に関する目標を推進するため、公的調達の利用を拡大している

  • 2017年のOECD加盟国における公的調達の対GDP比は、平均で12%であった。
  • 2018年にはOECDの全加盟国で環境に配慮した公的調達戦略が導入され、公的調達を利用して包摂的成長(29カ国)、イノベーション(26カ国)、責任ある企業行動(22カ国)を推進する国の数が増加した。

OECD加盟各国では引き続き、公的機関のデータを無料かつ利用しやすい形で一般公開する動きが進んでいる

  • OECD加盟33カ国のうち、政府のデータを無料で提供するよう義務付けているのは30カ国、オープンライセンスで提供するよう義務付けている国が29カ国、コンピューターで読み取り可能な形で提供するよう義務付けている国が31カ国である。また、データ再利用のため、行政府におけるスキルや能力の強化を優先的に行っている国は21カ国である。
  • 2019年の「OURdata (Open, Useful and Re‑usable)インデックス」(政府のデータ公開に関する方針やその実施基準を定めた指数)は、2017年よりも上昇している。この上昇は、データの入手可能性、利用しやすさ、再利用に向けた政府の支援など、すべての基礎的指標が改善されたことを示している。以前は指標が低かった国も、先頭を行く韓国、フランス、日本などに追いつきつつある。
  • 2016年に、OECD加盟国でオープンガバメント戦略やイニシアチブの策定に政府中枢が関与した国は21カ国、その実施に政府が関与した国は20カ国であった。

政府への信頼度は危機前の水準まで回復したが、政治的有効性に対する国民の評価は依然として低い

  • 政府に対する国民の信頼度は、2007年以来悪化傾向にあったが、OECD加盟地域で危機前の水準に近い45%まで回復した。信頼度の上昇が見られた国は、ドイツ、日本、韓国、ポーランド、スイスなど16カ国である。
  • 政府の行動に影響を与えていると感じた人の割合は、2016年のOECD加盟国平均ではわずか37%で、イタリアとスロベニアではさらに低く、20%以下であった。

平均すると、医療と教育に対する国民の満足度と司法への信頼度は、OECD諸国全体でわずかに上昇したものの、人口グループ間の格差は是正されていない

  • 2018年の時点で、OECD諸国の市民のうち、医療サービスを利用できることに満足している人の割合は70%、教育制度と学校に満足している人は66%、司法制度、裁判所を信頼している人は56%であった。
  • サービス(教育、医療、司法)の利用しやすさ、対応の早さ、質は大多数の国で改善している。例えば、就学、就業、職業訓練のいずれも行っていない若者(ニート)の割合は、2012年の6.9%から2018年には5.2%に減少した。
  • 人口グループ間の格差は是正されていない。例えば、健康診断が必要なのに実際には受けられていない人の割合は、2017年には高所得層よりも低所得層の方が3.2ポイント高かった。

© OECD

本要約はOECDの公式翻訳ではありません。

本書の利用については、電子版又は印刷版のいずれの場合でも http://www.oecd.org/termsandconditions に記載された諸条件が適用される。

多言語版要約は、英語とフランス語で発表されたOECD出版物の抄録を 翻訳したものです。

OECD

Disclaimers: http://oe.cd/disclaimer

This is a required field
Please enter a valid email address
Approval was a Success
Invalid data
An Error Occurred
Approval was partially successful, following selected items could not be processed due to error