1887

OECD Multilingual Summaries

Health at a Glance 2015

OECD Indicators

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10.1787/health_glance-2015-en

図表で見る医療2015年版

OECDインディケータ

日本語要約

「図表で見る医療2015年版」は、OECD諸国、OECDへの加盟審査中の国々、主要新興国における国民の健康状態や医療制度の実績などの国際比較を提供している。本2015年版では新たに、OECD諸国の相対的な実績を要約した健康成果と医療制度に関する一連のダッシュボード・インディケータ(第1章)と、OECD諸国の薬剤費の近年の動向の2つを特集として取り上げている。本書の主な結果は以下の通りである。

政策が適応しなければ、新薬が薬剤費を押し上げる

  • OECD諸国全体の2013年の薬剤費は約8,000億米ドルに達した。 小売り部門の薬剤購入額に病院での薬剤消費額を加えると、平均で医療支出総額の約20%に上る。
  • 大半のOECD諸国では、近年、小売り部門の薬剤費の伸びが鈍化している一方、病院の薬剤費は総じて増加している。
  • 対象者が少なかったり複雑な病状を対象としたりする新しい高額な特殊用途薬が出現したことで、薬剤費の長期的な持続可能性と効率性を巡り新たな議論が起こっている。

平均余命は伸び続けているが、国家間および人口グループ間の格差は依然として大きい

  • OECD諸国の平均余命は着実に伸び続けており、平均で毎年3‑4か月 伸びている。2013年の出生時の平均余命は平均で80.5年に達し、1970年以降10年以上伸びている。平均余命が現在82歳を超えているOECD諸国は、日本、スペイン、スイスを筆頭に8か国である。
  • インド、インドネシア、ブラジル、中国など、主要新興国の平均余命は過去20~30年間伸びており、急速にOECD平均に近づいている。南アフリカ(主因はHIV/エイズの流行)やロシア連邦(男性の間でリスクを高める行為の増加)などでは、平均余命の伸びがはるかに小さい。
  • OECD諸国全体で、女性の平均余命は男性より5年以上長いが、この差は1990年以降1.5年縮小している。
  • 最高学歴を持つ人々の平均余命は最低学歴の人々のそれより平均で6年長い。この差は特に男性に顕著で、平均でほぼ8年である。

OECD諸国の医師、看護師数は過去最高に達している

  • 2000年以降、医師、看護師数はほぼすべてのOECD諸国において、絶対数でも1人当たりの数でも増加している。特に医師数が急激に増えたのは2000年に医師数が少なかった国(トルコ、韓国、メキシコ、英国など)であるが、医師数がすでに比較的多かった国(ギリシャ、オーストリア、オーストラリアなど)でも大幅に増えた。
  • 増加の原因は、国内の医学・看護教育プログラムに受け入れる学生数が増えたことと、短期的なニーズに応えるために外国で訓練を受けてOECD諸国で働く医師・看護師数を増やしたことである。
  • OECD諸国平均で、一般医1人に対する専門医の数は2人以上である。一部の国では、一般医の数が伸び悩んでおり、あらゆる人々が一次医療を受けられるかということに対する懸念が生じている。

医療費の自己負担が依然として医療を受ける障壁となっている

  • ギリシャ、米国、ポーランドを除くすべてのOECD諸国には、中核的な医療サービスに対する国民皆保険制度がある。ギリシャでは、経済危機により、長期失業者と多くの自営業者の間で医療保険加入者数が減少した。しかし、2014年6月以降は、無保険者に処方薬や救急サービスを提供する措置が採られている。米国では、医療保険制度改革法の施行後、無保険者の割合が2013年の14.4%から2014年には11.5%へと低下し、2015年にはさらに低下する見込みである。
  • 医療費の自己負担は利用を妨げる障壁になる可能性がある。OECD諸国平均で、医療費の約20%は患者本人の自己負担であり、その割合は、フランスと英国の10%未満からメキシコ、韓国、チリ、ギリシャの30%以上まで幅がある。ギリシャでは、公的支出の削減により、2009年以降、家計から直接支払われる医療費の割合が4ポイント上昇している。
  • 経済的またはその他の理由により医療、歯科医療のニーズが満たされない可能性は、高所得世帯より低所得世帯の方が4~6倍高い。ギリシャなど一部の国では、医療ニーズを満たせていない人の割合が、経済危機の間に2倍以上上昇している。

医療の質の改善が遅すぎるために失われる命が未だに多い

  • 大半のOECD諸国では、心臓発作や脳卒中など命にかかわる病状の治療法が改善したことで、死亡率が低下している。平均すると、心臓発作による入院後の死亡率は2003~2013年に約30%低下し、脳卒中のそれは約20%低下した。このような進展にもかかわらず、多くの国では、急性期医療における最良慣行を改善することで、心臓発作や脳卒中後の死亡率をさらに低下させる余地が残っている。
  • 大半の国では、多くの種類のがんに関しても、早期の診断と治療法の改善により、生存率が改善している。例えば、乳がんと大腸がんの5年相対生存率は、1998~2003年のがん患者追跡調査対象者の平均で約55%だったものが、10年後(2008~2013年)のがん患者追跡調査対象者では60%以上へと上昇している。しかし、チリ、ポーランド、英国など一部の国は、様々な種類のがん患者の生存率において上位国に後れをとっている。
  • 慢性疾患について回避可能な入院数が減少し続けていることに示されているように、一次医療の質は多くの国で改善している。それでも、人口高齢化の進展や1つ以上の慢性疾患を抱える人の増加を考えると、すべての国で費用のかかる入院をさらに減らすために、一次医療を改善する余地がある。
  • 薬剤の処方慣行も、医療の質を測る指標として用いることができる。例えば抗生物質については、抗菌剤耐性リスクを減らすべく、根拠に基づく必要性がある場合のみに処方を限定すべきである。抗生物質の総消費量は、OECD諸国で4倍以上の差があり、最も少ないのはチリ、オランダ、エストニア、最も多いのはトルコ、ギリシャである。不要な抗生物質の使用削減は、急務ではあるものの複雑な問題であり、監督、規制、さらには専門家と患者の教育まで含めた多くの協調的な取り組みが必要とされる。

© OECD

本要約はOECDの公式翻訳ではありません。

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© OECD (2015), Health at a Glance 2015: OECD Indicators, OECD Publishing.
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